統合型会計情報データベース(FX4クラウド)ユーザー オプトあらき
千葉県匝瑳市と銚子市で眼鏡店を営むオプトあらきは、TKCの『FX4クラウド』を通じ業務効率の改善と適切な業績管理を実現している。荒木安弘社長、あみたす税理士法人の髙橋佐知子所長・税理士、巡回監査担当の髙橋豊副所長に話を聞いた。
──創業の経緯を教えてください。
荒木 私は最初、JR総武本線八日市場駅前で時計職人だった父が開いていた時計店を継いで店主をしていました。しかし時計産業はすでにそのとき斜陽産業でしたので、事業転換を模索していたところ、ちょうど本店の土地と建物が売りに出ていたので、購入して眼鏡店を開業することを決めました。その後一時4店舗まで拡大しましたが、現在は千葉県匝瑳市の八日市場本店と同銚子市のイオンモール銚子店の2店舗を運営しています。
──なぜ眼鏡店にしたのですか。
荒木 「おしゃれだね」「良く見えるようになった」などの声を直接聞くことができ、お客さんの喜ぶ顔が見られるからです。眼鏡は洋服と一緒で気分によって異なるものをかけたり、流行によって買い替えたりします。ファッションの好みが異なる一人一人のその時の気分や流行を踏まえて眼鏡をご提案し、ご購入いただき、満足していただいて「ありがとう」と声をかけていただける。こんないい商売はありません。
──高齢者の方の来店も多いとか。
荒木 そうですね。高齢者のお客さまは、免許の更新の際の視力検査を前に新調していただくことがあります。当店舗で視力検査の予行練習を行ってから警察署に行き、「無事免許更新できたよ」とお礼を言っていただけることもあります。若者かご年配かを問わず、お客さま一人一人の気持ちに寄り添った納得していただける眼鏡づくりを心掛けています。
髙橋所長 年配の人は、複数本眼鏡を持っておられる方が結構います。行く場所や着る洋服によってかける眼鏡を変えたり、日がまぶしいときはサングラスをかけたり。ところが眼鏡はメーカーも形も本当に数が多くて、詳しくない人は何を選んでよいか分かりません。そうした時にここに来れば、スタッフの方がいろんな情報を懇切丁寧に教えてくれます。高齢購買者の目線で言うと、会話のやりとりも含めここに来るのは楽しいと思います。
荒木安弘社長
──店舗の特徴は?
荒木 テナントの2階に眼科があるので、眼鏡が必要になった患者さんがそのまま当社の店舗にきていただくことができます。また毎日朝礼で、私がつくった「オプトあらき心得」を唱和しているのですが、八つの項目のうち最初の二つは「私たちは、お客さまの満足を何よりも優先します」「私たちは、礼儀正しく、笑顔で人と接します」となっており、とにかく接客に力を入れています。現代はEC全盛の時代ですが、当店ではお客さま一人一人に寄り添ったリアル店舗ならではの接客のだいご味を味わってもらえると思います。
──具体的には?
荒木 例えばお客さまが他の用事できたとしても、着用している眼鏡をお借りして不具合や修理すべき部分を見つけたり、つけ損じでお客さまがお持ちのコンタクトレンズの数が左右で合わない場合は数が合うよう補充したり――。こうした何げない気づかいや配慮の積み重ねが違いを生み出していくと思います。
──品ぞろえについてはいかがでしょうか。
荒木 全国チェーンのようなプライベート製品がない代わりに、ナショナルブランドやハイブランド、福井県鯖江市などで生産されたメード・イン・ジャパン製品など幅広くとりそろえています。とくに他店ではあまり扱っていないブランドを意識的に仕入れ、当店ならではの特徴を出しています。開店当初「八日市場で銀座のお買い物」というコンセプトを打ち出したこともあり、おしゃれな店舗づくりには自信があります。
幅広い製品をとりそろえる
清潔感あふれる店内
八日市場本店
──あみたす税理士法人とは長いおつきあいだそうですね。
荒木 最初にお話しした時計店を経営していたときに、税務の相談をしたのが髙橋豊副所長で、それから30年以上お付き合いさせていただいています。その後佐知子所長とご結婚されて髙橋会計事務所(法人化によりあみたす税理士法人)の所属になって以降、TKCシステムを導入することにしました。
髙橋副所長 法人成りした1997年に『FX2』を導入し、その後2019年に『FX4クラウド』に切り替えました。荒木社長は独学で簿記の知識を習得されており、『FX2』導入当初から、仕訳などの入力をご自身の手でされています。
荒木 導入当初の慣れない時期は、店舗を閉めた後にレジの集計と『FX2』、販売管理ソフトの集計の三つの数字があっているかどうか自分で確かめていました。システムの画面を毎日チェックするのは今も日課になっていて、私の大きな楽しみになっています。よく記帳代行をしてもらうために税理士と契約をしている経営者がいますが、私はそれではうまくいくとは思えません。企業自らが記帳をし、税理士の先生には専門家として次元の違う第三者的な視点からアドバイスを受けるというのが理想だと思います。
髙橋豊副所長
髙橋佐知子所長
──『FX4クラウド』に切り替えた理由は?
荒木 過去に最多で4店舗を展開していたことがあり、そのころは月初に各店舗を私が巡回して月次決算の数字を確認していました。それを見た髙橋副所長から「『FX4クラウド』にすれば、社長のノートパソコンで全店舗の業績をリアルタイムで確認できますよ」と勧められたので導入することにしたのです。各店舗を巡回するのはそれなりに楽しみだったのですが、一瞬で両方の店舗の業績を確認できるのは便利ですね。
また『FX2』では商品ごとに部門をたてて業績管理をしていたのですが、店舗によって商品の構成比率が異なることによる管理の難しさが出てくるようになったのも要因の一つです。店舗別に部門を分け、さらに店舗ごとの商品別で細分化して業績管理ができるようになりました。
――具体的にどのように部門別業績管理をしていますか。
髙橋副所長 それぞれの店舗ごとにざっくり眼鏡部門、コンタクトレンズ部門、補聴器部門があり、例えば眼鏡部門であればさらにフレーム、レンズ、備品、サングラスなど、コンタクトレンズ部門であればソフトレンズ、ハードレンズなどに細かく分けて管理しています。
――業績管理の面でプラスになったことを教えてください。
荒木 一番は店舗ごとの月次の限界利益が明確に把握できるようになったことです。これによってチラシを中心とした広告宣伝費をどれくらいかければよいかという経営判断がスムーズになりました。とくに銚子店は本店よりも経費が多いため、チラシを打つか打たないかの判断は同店の月次の限界利益の水準をみて決めています。
――社内でどのように活用されていますか?
荒木 各店舗の店長が売り上げを確認できるようにしていますが、限界利益を確認できるのは私と役員のみと閲覧権限を分けて設定しています。店長は店舗の売上高の前年同月比を把握できているので、月末近くになると各店長とコミュニケーションをとり、「前年の数字に少し足りないけど何か対策はある?」などと打開策を尋ねたりしています。
――書面添付制度(※)を実践し、「TKCモニタリング情報サービス(MIS=P63参照))」も活用されているとか。
髙橋所長 お互いにうそはつかない、公私混同の経営をしないなどの約束事のもと、TKC方式の書面添付制度を実践しています。
荒木 別に悪いことはなにもしていませんが、税務署から連絡が来るのは不安になるもの。これが会計事務所への確認で済むというのは、経営者として精神的な負担感が大きく減ります。またMISも大いに活用させてもらっています。以前は決算書類を印刷して金融機関に説明に行ったりしていましたが、今は決算申告と同時にメール送信してくれるので助かりますね。
――抱負を教えてください。
荒木 毎月の数字を前年対比で追っていくと、まだコロナ前の水準には戻っていません。またコンタクトレンズの市場がそろそろ行き詰まってきています。そこで今後は、人手も手間もかかりなかなか本腰を入れることができなかった補聴器事業の強化を検討しています。高齢者人口の増加にともない補聴器需要の拡大が予想されているからです。加えて、広告宣伝費のかけ方も、SNSを活用したよりお金のかからない手法を模索していきたいと考えています。
※ 書面添付…税理士が税理士法第33条の2に基づき、関与先企業の税務申告書の提出に際して、自ら「計算し、整理し、又は相談に応じた事項」を記載した書面を添付する制度
●株式会社オプトあらき
業種 眼鏡・コンタクトレンズ・補聴器の販売など
設立 1997年5月
所在地 千葉県匝瑳市八日市場イ412-14
社員数 14名(パート含む)
●あみたす税理士法人(2011年3月法人化)
髙橋会計事務所(1985年10月設立)
所長 髙橋佐知子
千葉県千葉市花見川区南花園1-44-10 南花園ビル